赤ちゃんが大人と同じように話せるまでには、いくつものプロセスをへて成長し学習を繰り返していきます。
言語を4つの要素、「話す」「聞く」「書く」「読む」に分けた場合、人間がまず「聞く」ことから学ぶことは誰でも知っています。
しかし、「聞く」という能力はいつから、どんなプロセスで開発されていくのでしょうか?
「話す」と「聞く」はよく一つのペアのように語られ、ほぼ同時に開発されていくように認識されがちですが、実は人間が話せるようになるのと、聞く能力が備わるのには大きな“時差”があるのです。
聞く力は一番初めに完成してしまう
赤ちゃんは人が話すのを聞いていますが、自分は話しません。
英語の「赤ちゃん」というコトバは「Infant」ですが、これはラテン語で「fari」(話す)に否定語「in」をつけたもので「話さないもの」という意味になります。
例えば、フランス語のように発音が複雑な言語の場合、「おはよう、今日はいい天気ですね」というだけでも、100以上の筋肉を使う必要があり、その筋肉をうまくコーディネートする脳が十分に成長していなければなりません。
これらの発声器官(舌、唇、咽頭、喉頭、鼻腔、声門など)や脳が発達するまでには、通常少なくとも1年の歳月が必要です。
さらに正確にコトバを発音するまでには、まだまだ時間がかかります。
一方、聴覚においては新生児と大人の差はありません。
つまり人間の言語能力の中で、「聞く力」は最も早期に備わり、完成してしまうものなのです。
正確には胎児の聴覚組織は妊娠25週目から機能し、35週目で大人とほぼ同じレベルに達します。
胎児がお腹の中で、外の声を聞いているというのは、今ではほぼ一般的な常識になっていますが、どれだけはっきり聞き取れているかは、最近まで確かではありませんでした。
しかし、子宮内の音を録音できるようになった今、子宮内のバックグラウンド・ノイズ(背景雑音)は、今まで想像されたよりずっと低周波で、遮断効果はあまりないことがわかりました。
つまり、子宮内の胎児には外の音はほぼ完璧に聞こえ、母親の声はさらによく聞こえているのです。
また、新生児は大人でも聞き取りにくい、かなり微妙な音素の違いも聞き分けられることが確認されています。
多少の個人差はありますが、生後3ヶ月の乳児が音節(シラブル)の最初の子音の変化を聞き取っていることが分かっています。
様々な研究により、生後4ヶ月ぐらいになると、ba と pa のような微妙な子音の違いをも聞き分けることが明らかになりました。
赤ちゃんの脳と音楽の関係
世界中に子守唄があるように、赤ちゃんの成長にとって音楽はかかせないものです。最近の脳科学の発達により、たくさんの音楽を聴いて育つ赤ちゃんは、音楽に関係した脳細胞のネットワークがよりしっかりと形成されることがわかりました。
特にクラシック音楽が赤ちゃんの情緒的成長に良いと言うのを聞いた人は多いと思いますが、なぜクラシックが他の音楽に比べてよいのでしょうか?
それは赤ちゃんの鋭い聴覚が、特にオーケストラによって演奏される複雑な音楽構造に適しているからなのです。
なんと生後3ヶ月の乳児は、以前に聞いたクラシック音楽の構造を覚えているということが、様々な調査によって証明されています。
今あなたのそばに眠る赤ちゃんは、大人よりオペラを堪能できる耳を備えているのです。
さらに、クラシック音楽は特殊な能力を人間の脳に作り出すこともわかっています。
また、クラシック音楽を聞き取るときの脳の機能は、スペースに関する謎解きの際の
脳の機能と類似しているのだそうです。
従って、大人であってもクラシックを聞いた後にジグソーパズルのようなゲームをするとよく解けるという研究結果が出ています。
但し、その効果は短期間だけのようで、音楽をよく聞くとジグソーパズルが得意になるというのとは違います。
聞くだけではなく何らかの楽器を弾く練習を続けると、このスペースに関する思考能力が永続的なものになるようです。
いくつかの実験によると、6ヶ月間ピアノのレッスンを継続した子のジグソーパズルを解く能力が確実に高まり、約3割の子がスペースに関する謎解きの力が向上したそうです。
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コトバの音の認識能力に大きく関係している脳は、3歳までに約60%が出来上がります。
脳がほぼ完璧にできあがる10歳ぐらいを境に、その認識力が急速に落ちていきます。
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